建設物価調査会

主要資材動向(東京)

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    東京地区の主要資材の最新の価格動向を掲載しています。その他の品目については、「月刊 建設物価」、「Web建設物価」をご確認ください。

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2024年8月10日現在 東京

主要資材価格動向

主要資材動向

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品名品名規格単位価格前月比気配掲載ページ
異形棒鋼異形棒鋼SD295 D16t114,000
変わらず
弱含み
16
H形鋼H形鋼SS400 200×100×5.5×8mmt122,000
変わらず
横ばい
26
中厚板中厚板無規格品 16~25×1,524×3,048mmt142,000
変わらず
弱含み
40
カラー亜鉛鉄板カラー亜鉛鉄板0.35×914×1,829mm1,548
変わらず
弱含み
54
セメントセメント普通ポルトランド バラt16,000
変わらず
横ばい
79
レディーミクストコンクリートレディーミクストコンクリート18-18-25(20) 普通ポルトランド(17区)m320,800
変わらず
横ばい
92
再生砕石再生砕石再生クラッシャラン 40~0mm(17区)m31,200
変わらず
横ばい
129
管柱 杉(KD)管柱 杉(KD)3.0m×10.5×10.5cmm377,000
変わらず
横ばい
160
コンクリート型枠用合板コンクリート型枠用合板12×900×1,800mm 輸入品1,770
変わらず
横ばい
175
再生アスファルト混合物再生アスファルト混合物密粒度13(14区)t10,000
変わらず
横ばい
211
ストレートアスファルトストレートアスファルト針入度60~80 ローリーt122,000
上伸
弱含み
219
600V ビニル 絶縁電線600V ビニル 絶縁電線Ⅳ 1.6mm 単線m37.9
下落
横ばい
539
配管用炭素鋼鋼管(ガス管)配管用炭素鋼鋼管(ガス管)白ねじ付き管 50A 4m7,340
変わらず
横ばい
654
硬質ポリ塩化ビニル管硬質ポリ塩化ビニル管VP100mm 4m4,190
変わらず
横ばい
688
軽油軽油ローリー115.0
下落
弱含み
788
鉄スクラップ鉄スクラップヘビーH2t42,000
下落
弱含み
794
矢印説明

<市況総括>

 国内の建設工事の統計資料をみると、2024年7月の公共工事請負額は全国で前年同月比10.9%増(建設業保証会社)、2024年6月の新設住宅着工戸数は、持家、貸家、分譲住宅が減少したため、全体で前年同月比6.7%減少、民間非居住建築物着工床面積では事務所、工場は減少したが、店舗、倉庫が増加したため4.6%増(国土交通省)となっている。一方、主要資材の需要動向は、小形棒鋼が6月の国内出荷量で前年同月比9.2%減、H形鋼が19.3%減(日本鉄鋼連盟)、生コンが7月の東京17区出荷量で3.4%増(東京地区生コンクリート協同組合)、アスファルト混合物が6月の東京地区出荷量で3.9%増(日本アスファルト合材協会)となっている。

 東京地区の主要10資材の価格動向は、600Vビニル絶縁電線、軽油の2資材が下落、異形棒鋼、H形鋼、セメント、生コン、再生砕石、コンクリート型枠用合板、再生アスファルト混合物、配管用炭素鋼鋼管(ガス管)の8資材が横ばい、上伸した資材はなかった。

 【電線】 メーカー各社は製造・輸送コストの増加分を転嫁すべく、7月より本格的に価格改定を実施。流通各社も採算確保に向け値上げ交渉を進めているが、銅価格が急落したことで需要家からの値下げ要求が強まり下落。目先、横ばいの見通し。

 【軽油】 ローリー渡しでリットル当たり115円と前月比3円下落。原油相場の下落と円高進行から、元売り各社は仕切価格を引き下げ、流通筋も追従した。目先も弱基調の見通し。

 【異形棒鋼】 横ばい。メーカー各社は現行価格維持の姿勢を崩していないが、限られた取引をめぐる流通筋の販売競争から先安観が台頭している。早期の需要回復は期待できないとの見方が強く、原料の鉄スクラップ価格も反発する兆しは見られない。目先、弱含みの見通し。

 【H形鋼】 横ばい。メーカー各社の値上げによって採算が悪化している流通各社は、メーカー値上げ分に加え自社コスト増加分の未転嫁分を販売価格へ転嫁させたい意向にあるが、需給にタイト感が乏しい環境下で、現状価格の維持にとどまっている。目先も横ばいの見通し。

 【セメント】 横ばい。セメントメーカー各社は輸送コストや設備投資費などの上昇を理由に2025年4月から2,000円以上の値上げを表明している。生コンメーカーとの本格的な交渉は秋口以降になる見込みで、先行きも横ばいの見通し。

 【生コン】 横ばい。協組は、秋口に次年度の生コン販売価格を公表予定としているが、2025年4月からのセメント値上げや高騰する骨材価格、輸送コスト増加分が価格にどれだけ影響してくるかに注目が集まっている。先行きも横ばいの見通し。

 【再生砕石】 横ばい。メーカーは輸送コスト増加分を早期に製品価格に転嫁したい意向だが、採算確保を優先する需要家の値下げ要求は強く、現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行きも横ばいの見通し。

 【コンクリート型枠用合板】 横ばい。流通筋は、現地の原木価格高騰を理由に販売価格を底上げしたい意向だが、荷動きの停滞感が強まる状況下、売り腰を強められずにいる。需要家は小口当用買いに徹しており、市中に買い急ぐ動きは見られない。先行きも横ばいの見通し。

 【再生アスファルト混合物】 横ばい。メーカー各社は、足元のストアス価格の上昇や輸送コストの高止まり分を販売価格に転嫁するため値上げ交渉を継続。一方、アスファルト混合物への再生骨材混入問題に対する不信感から需要家との交渉は進展していない。先行きも横ばいの見通し。

 【配管用炭素鋼鋼管(ガス管)】 横ばい。需要不振のため採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しく、流通筋は輸送コスト増加を背景に値上げ交渉を段階的に進める構えだが、現行価格の維持が精いっぱいの状況。先行きも横ばいの見通し。

<市況(現況と見通し)>

  • 異形棒鋼

    圖師
    先行き気配

    需給環境厳しく、先安観が台頭

     SD295・D16でトン当たり114,000円と前月比変わらず。人手不足による工事の遅れや建設計画の見直しなどの影響で、新規案件の引き合いは乏しく、依然として荷動きは精彩を欠く商状が続いている。メーカー各社は採算確保を重視して現行価格維持の姿勢を崩していないが、限られた取引をめぐる流通筋の販売競争から先安観が台頭している。早期の需要回復は期待できないとの見方が強く、原料の鉄スクラップ価格も反発する兆しは見られない。目先、弱含みの公算が大きい。

  • H形鋼

    名嘉
    先行き気配

    上値は重く、横ばい

     200×100でトン当たり122,000円と前月比変わらず。市中の荷動きに直結する中小建築需要の低迷から、盛り上がりに欠ける商況が続いている。メーカー各社の値上げによって採算が悪化している流通各社は、メーカー値上げ分に加え自社コスト増加分の未転嫁分を販売価格へ転嫁させたい意向にあるが、需給にタイト感が乏しい環境下で、現状価格の維持にとどまっている。需要家は値上げ動向を見極めようと慎重な購入姿勢を維持。目先、様子見の展開が続き、横ばいの公算が大きい。

  • 中厚板

    伊藤
    先行き気配

    需要の低迷が続き、弱含み

     16~25×1,524×3,048mmでトン当たり142,000円と前月比変わらず。造船向け需要は堅調な一方で、市中荷動きに直結する中小建築向けの実需は依然として精彩を欠いており、全体の荷動きに勢いをつける力強さはない。市中在庫量が増加傾向にあり、流通各社は採算割れを懸念し、安値受注の回避に努めている。しかし、需要低迷の長期化で先安観を一掃する材料が乏しく、需要家の購入姿勢は厳しさを増すことが予想される。目先、弱含みの公算が大きい。

  • セメント

    佐藤
    先行き気配

    本格的な交渉は秋口以降、横ばい

     普通ポルトランド(バラ)でトン当たり16,000円と前月比変わらず。6月の国内販売量は、273万7千トン(協会調べ)で前年同月比10.1%減となり、底打ちの兆しは見られない。一方、セメントメーカー各社は輸送コストや設備投資費などの上昇を理由に2025年4月から2,000円以上の値上げを表明している。主たる需要家である生コンメーカーとの本格的な交渉は秋口以降になる見込みで、しばらくは双方で模様眺めの状況が続くとみられる。先行き、横ばいの公算大。

  • レディーミクストコンクリート

    佐藤
    先行き気配

    現行価格を維持、横ばい

     18-18-20でm3当たり20,800円と前月比変わらず。7月の東京17区出荷量は、23万6千m3(協組調べ)で前年同月比3.4%の増加。資材価格高騰や作業員不足による工事の遅延、延期が散見されるものの、都心部の再開発事業向けの出荷が今後も需要を下支えするものとみられる。協組は、秋口に次年度の生コン販売価格を公表予定としているが、2025年4月からのセメント値上げや高騰する骨材価格、輸送コスト増加分が価格にどれだけ影響してくるかに注目が集まっている。先行き、横ばいの公算大。

  • 再生砕石

    藤巻
    先行き気配

    過剰在庫の解消進まず、横ばい

     再生クラッシャラン40~0mmでm3当たり1,200円と前月比変わらず。都内メーカーの廃材受入料金の値上げと受入制限により、廃材の受入地が隣接県にまで広がりを見せている。旺盛な解体工事から発生する廃材により、メーカー各社の在庫量は高水準で推移している。メーカーは輸送コスト増加分を早期に製品価格に転嫁したい意向だが、採算確保を優先する需要家の値下げ要求は強く、現行価格の維持が精いっぱいの状況。需給改善にはなお時間を要する見通しで、先行き、横ばいの公算大。

  • コンクリート型枠用合板

    飯島
    先行き気配

    需要は盛り上がりに欠け、横ばい

     12×900×1,800㎜輸入品で枚当たり1,770円と前月比変わらず。6月の輸入合板入荷量は、16万7千m3(財務省調べ)で前年同月比17.2%の増加。足元の需要は盛り上がりを欠き、市中在庫量は増加している。流通筋は、現地の原木価格高騰を理由に販売価格を底上げしたい意向だが、荷動きの停滞感が強まる状況下、売り腰を強められずにいる。需要家は小口当用買いに徹しており、市中に買い急ぐ動きは見られない。今後も需要の早期回復は期待薄との見方が強く、先行き、横ばいの公算大。

  • 再生アスファルト混合物

    筒井
    先行き気配

    交渉進展せず、横ばい

     密粒度13でトン当たり10,000円と前月比変わらず。4~6月の都内出荷量は、39万1千トン(協会調べ)で前年同期比4.0%の増加。出荷量は堅調に推移しているが、維持修繕など小規模工事中心で、商状は盛り上がりを欠いている。メーカー各社は、足元のストアス価格の上昇や輸送コストの高止まり分を販売価格に転嫁するため値上げ交渉を継続。一方、アスファルト混合物への再生骨材混入問題に対する不信感から需要家との交渉は進展していない。先行き、横ばいの見通し。

  • 電線

    木村
    先行き気配

    銅建値急落を受け、4.1円の下落

     IV1.6mm単線でm当たり37.9円と前月比4.1円の下落。主原料である銅の建値は8月上旬で132万円と前月上旬から30万円の急落となった。メーカー各社は製造・輸送コストの増加分を転嫁すべく、7月より本格的に価格改定を実施。流通各社も採算確保に向け、値上げ交渉を進めているが、銅価格が急落したことで需要家からの値下げ要求が強まり下落した。銅の価格は国際情勢や為替の影響を受け大幅に変動する可能性があり、動向が注視されている。目先、横ばいの公算大。

  • 配管用炭素鋼鋼管(ガス管)

    徳永
    先行き気配

    需要回復せず、横ばい

     白ねじ付き管50A4mで本当たり7,340円と前月比変わらず。大型再開発物件が堅調に推移する一方、需要の中心となる中小物件向けの需要が振るわず、荷動きは精彩を欠いている。需要不振のため採算悪化を懸念する需要家の購入姿勢は厳しく、流通筋は輸送コスト増加を背景に値上げ交渉を段階的に進める構えだが、現行価格の維持が精いっぱいの状況。需要回復にはしばらく時間を要するとの見方が強く、双方の綱引きは続く見込み。先行き、横ばいの公算が大きい。

  • 燃料油

    村平
    先行き気配

    原油相場の下落により、ローリー渡し下落

     軽油はローリー渡しでリットル当たり115円と前月比3円下落、レギュラーガソリンはスタンド渡しで156円と変わらず。中東の地政学リスクの緩和と米・中経済の先行き不安による需給緩和の見方が強まり、原油相場は下落。円高進行もあり原油調達コストが低下し、元売り各社は仕切価格を引き下げた。これを受けた流通筋も追従し、一部油種で下落した。原油相場は不透明な状況が続いているが、今後も世界経済や為替変動などにより左右されるとみられる。目先、弱基調の見通し。

  • 鉄スクラップ

    石井
    先行き気配

    為替相場の影響を受け、2,500円下落

     ヘビーH2でトン当たり42,000円と前月比2,500円の下落。7月の関東輸出取引は、東南アジア向けに国内相場と同水準で取引が成立した。しかし、その後の円高が円建ての輸出価格を下押ししたことで、国内大手電炉メーカーは対抗策として段階的に購入価格の値下げを実施。この動きが周辺メーカーにも波及し、市況は下落した。国内需要は依然低迷しており、足元の為替変動が取引価格に与える影響が大きい状況が続く。閑散期を迎え需要家の購入意欲も低下しており、目先、弱基調の見込み。

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一般財団法人 建設物価調査会
  調査統括部 調査統括課
TEL:03-3663-3892